江川卓 訳
岩波文庫(1999/11/16)
第28刷(2020/8/17)
新刊
いやー確かにすごい話だ。文学史上の傑作といわれるだけあって、読み応えある、ありすぎだよ。
ただ、こういう海外文学史上の巨匠って、例えばシェイクスピアの「お気に召すまま」を岩波文庫で読んだ時も思ったんだけど、なんか世間の、一般的な普通人におもねってないかね?
一般普通人たちの気持ち悪い愚行、正直読んでてほんとに気持ち悪くなるんだけど、なんか批判的に書いていない、結局そういう他人を貶め侮る態度を、肯定して面白がって書いている節があるんだよね…。
まあ結局この人たちって、この売文商売や見世物演劇商売を成立させてペイさせる必要があったわけだし、しかもその目的のためにいやいや書いたというよりは、むしろそちら側でそれを表現することを面白がっている、そういう人たちだから、成功して歴史に名を残した、ってところがあるんじゃあないかなー。
まあでもそれはそれとして、これはやっぱりすごい小説だよ。
倒叙型推理小説の、一つの起源でもあるんだろうね…。
主人公の大学の友人、ラズミーヒン君はいい人だねー。なんかこの1865年あたりのペテルブルグ市の描写って、私が大学時代一人暮らししながら過ごした、東京の雰囲気に似てるね。大体近代都市ってこんな感じになるんだろうね。
そして女性陣も、性格のいい素敵な女性が出てくる…。メイドのナスターシャも魅力的だし、そもそもこのメイドさんはやらしてくれないの?なんて思っちゃうし^^;;;、妹のドゥーネチカも、おそらくこの後かなりの重要キャラクターになる、マルメラードフの娘で娼婦のソーニャも、何か、素敵な女性たちだよね…。
ちょっと読んでて興奮するぜ^^;;。
と、いうわけで、今後全3巻のうちの中巻を読んでいきます(^^)/。
あと、この罪と罰という題名は、原題のロシア語でもそうなってるんだろうけど、この言葉について少し思うことがあるので、最後に書いておきます。
まず第一に、時々、罪の無い人がどうのこうのって言及を聞くんだけど、いつも思うのは、人間として生きてきていて、罪の無い奴なんているかね?…なんて、よく感じるんだけど…
あともう一つ、ザ・ハイロウズの曲でこれもそのまま「罪と罰」というタイトルの曲で好きなフレーズがあるのでこれを引用して今回は終わります。
「罪ならば全部認めるが 罰を受けてるヒマはないぜ」